「リケジョはモテるでしょ?」「そんなことないよ。研究で忙しくて、彼氏できないし」
「子どもを幼稚園に迎えに行くので帰ります」「田中さん、イクメンですね。かっこいい!」
このような会話を聞いたことがないでしょうか?
「リケジョ」とは「理系女子」のことで、工学部や理学部など理系の学部に進学する
女子学生を表す言葉です。そして「イクメン」は「育児をする男性(メンズ)」を
表します。
このような言葉がある一方で、理系学部に進学する男子学生を一語で表す言葉も
育児をする女性を表す専用の言葉も存在しません。それはなぜでしょうか。
人間の言語には例外的なものに特別な名前をつける性質があるからです。
日本社会において理系学部に進学する女子学生は少数派で特殊な存在です。
また、育児に従事するのは女性であることが一般的で育児をする男性は
日本社会では珍しい存在になります。
言葉は社会を反映しています。「リケジョ」や「イクメン」といった言葉は
日本社会における男女のあり方の違いを映し出しています。
良いことか悪いことかはさておき、このような言葉の存在から、
言語が社会を反映するという事実を知ることができます。
日本語を学ぶことは日本社会を学ぶことにつながります。
日本語に興味を持って学んでいる方、日本語を母語としない方に
日本語を教えている先生方、言葉の背景にある日本社会・日本文化
に目を向けてみましょう。