AIが発達して、論文でさえも短時間でまとめあげられ、
今後見分けることも難しくなりそうだという。
ましてや、歌の歌詞、作文程度であれば、
ある程度のロジックがあれば、それなりの体裁はすぐに整う。
歌には様式美があり、文字の数、母音、シンメトリーな美しさなどの法則があるため、
それらに則って主体を伝える時、自然とポエジー・詩的感覚が付加される。
これからのそういうアートに対しての危機感が感じられてしまうような世の中で、
ぼくたちは何を求めて、何に喜びを見出していくのだろう。
人が作り出すあたたかさ。温もり。
合理主義者からすれば不要とも取れる不器用さ。
心があるからこそ見えてくる真理。
分離的思考の溶解、哲学、幸福論、
理性、想像力、幸福感、愛情、友情、
ふれあい、驚き、奇跡、信念、世界。
それらにふれたくて、ぼくたちはアートを暮らしに取り入れる。
AIがつくる卵焼きよりは、
不器用でも、ぼくのために焼いてくれた焦げ目のある卵焼きが嬉しい。
そうして、愛する生命を幸せにしたくて、
ぼくたちはみんな、何らかの技術を磨きながら日々を暮らしている。
言葉には生命が宿る。
ぼくはそれを信じていたい。
Makoto ATOZI