*いざ!カナダへ⑬
*想像と現実⑭
99年5月、カナダに来て約2か月経ち…
わたしは、ケベック州の人口100人にも満たない小さな田舎町に居た。
会社に居たところで、何も出来ないわたし。
社長は買付予定の、ツブ貝の漁獲や生産現場を視察するようにと
ケベックまでわたしを連れてくると、一通り工場やツブ貝の事を説明した後
ノバスコシアに帰っていった。
英語もさほど出来ないが、フランス語はまったく出来ない。
フランス語しか通じない町に一人取り残された。
ポツンと小さな工場と対面にある掘立小屋の店。
その並びには、わたしが寝泊まりする一軒家。
それ以外には、何も目立った建物はない。
何しろ、平屋の建物しかない。
毎日、工場と家の往復をしながら
私は過去をなぞっていた。
日本での会社員生活~後半の2年半
一般事務員から総合職に昇格し
そこから一気に
業界初のカナダ産ホッキ貝販売レコードを出した華々しい日々。
それなのに…
今では…
小さな日系の会社で
言葉も通じない町に居る。
車も通らぬ一本道の真ん中に立つと
その向こう…
前も後ろも見ても
何処までも、道しか見えない。
「未知なる道」
まさに、わたしのこれからの人生のようで
カナダでひとり、不安しかなかった。
わたしはオフィスにいる、経理のかおりちゃんに電話で愚痴をこぼした。
だが、後々その事は
そのまま彼女から社長に報告が行っていた。
そこから、ますますわたしは空転していく。
しかし、カナダに来た事を後悔はしていなかった。
したくなかった。
「後戻りはできない」
「帰るところはない」
そんな強い気持ちで、わたしは道に立っていた…
鬼塚ちひろ「月光」(2001)
女の29歳・30歳。
悩む年頃ですよねぇ~o(-_-;*) ウゥム…
この後にも、いろいろ悩む年頃~ターニングポイントになる年齢ってあるんですけど
この三十路前後は、妙な力の入りようで突っ張ってしまっていて
何だか「後戻りできない!」と思っちゃってました。
さて、この後
私はますます、自分の思い描いた「カナダへの道」とは違う
道を歩き始める事になります。それは、自分でというよりも
何かに、誰かに歩かされるような道~続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/」