中世には、俳諧(滑稽)の連歌が、さかんに行われた。
「新鮮犬筑波集」では、この前句ひとつに対して、有名な「ぬす人をとらへてみればわが子なり」など三句の付句がつけてある。
松永提督は、「あぶらかす」の中で同じ前句について二十一通りの付句を付している。
その中のいくつかをあげる。
きりたくも有り切度もなし
戒の師もみるに心のみだれ髪
児(ちご)が得度するとき、戒師がいたいけな黒髪を惜しんで、ためらっている。
かひ所かくには爪もたからにて
かゆい所をかくのに、爪を切っていたらかけない。
などなど。