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Cafetalk Tutor's Column

Rubrica di Ichiro

小寺の小僧

Nov 8, 2022

今昔物語にある話である。
学僧たちが、桃園(世尊時)で、夕方の講座を待つ間、興福寺の中算という僧が言った。
「なんとこのお屋敷のキダチ(木立)はよそとまるで違いますな。」
そばで聞いていた、木寺の基増(きでらのきぞう)という僧が言った。
「奈良の僧は学がない。コダチ(木立)とはいうが、キダチとはいわぬ。いい加減な言葉遣いをするものだ。」
そして、ぱちぱちと軽蔑の爪はじきをした。
中算は、
「おや、これは言いそこなったか。それでは、あなたは、コデラ(小寺)のコゾウ(小僧)と申さねばなりませんな。」
そこにいた僧たちは、大笑いした。
そのとき、摂政殿が聞きつけて、何を笑っているのか確かめた。
そして、「それは、中算が、基増をからかおうとして、わざと間違えたのだ。それに引っかかった基増も愚かなことよ。」と言った。
僧たちは、いよいよ笑った。
いらぬことをしたばっかりに、基増には、「小寺の小僧」というあだ名がついてしまったという。

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