▶夢や希望~カナダへの道③
▶過去は変えられねえ!~カナダへの道④
▶何かの足しに日本語教師~カナダへの道⑤
▶揺らぐ牙城~カナダへの道⑥
▶ギリギリワーホリ~カナダへの道⑦
ワーキングホリデーという
「カナダ行きの切符」を手に入れたものの
わたしの心はハッピーじゃなかった。
カナダに行く前に、大きな山を目の前にしていた。
会社に退職を、申し出なければならない。
会社のバックのメインバンクの状況悪化に加えて
当時、急激な円安の状況から
北米商品の買付価格は高騰。それに加え、日本国内の販売もスローになっていき
在庫が積みあがっていった。
そんな、会社が…
所属部署が大変な中で、退職を申し出るのは辛かった。
しかし、もうカナダへ行くと決めていた。
10月半ば、退職願を握りしめ
部長の前に立った。
差し出した「退職願」という文字
その中身は12月末日で退職と記されている。
部長は信じられないモノを見たような顔をした。
バタバタと会議室に押し込められ、退職の理由を部長に問いただされるも
わたしは「家庭の事情で~」の一点張りで通した。
「何とか、退職の時期を遅めにできないか…」
「せめて、積みあがっている在庫を処理してから辞めてくれないか…」
そんな言葉を投げかけられるも、首を縦に振る事はなかった。
ようやく、退職願は受理され
わたしの後任の担当者が、急ピッチで選ばれ異動してきた。
イケメンだけど、言う事はなかなか辛辣な同期の男子社員へ
わたしは仕事を引き継ぐ事になった。
「こんな最悪の状況で、しかもこんな短期間で引き継ぎなんて!」と
カレはわたしに毒づいた。
社内の方々から、わたしに対する苦言が聞こえてきた。
「良いとこ取りした挙句、このザマだよ!」
「大変になったら、逃げる。裏切る。だから女はダメなんだよ」
そんな言葉が飛び交う中での退職までの日々は
もう、仕事へのヤル気などなく
”消化試合”をこなしているようだった。
会社…
上司や同僚に申し訳ないと思いつつも
ここで自分が決めた道に行かなければ、後悔する!と思うと
もう立ち止まったり、戻る事は考えられなかった。
誰に何を言われようとも
進むしかない。
そして、会社での引き継ぎ業務と並行して
わたしはカナダでの仕事探しをしていた。
仕事でご縁のあったカナダの会社の担当者から
ノバスコシア州の小さな日系食品会社を紹介された。
とにかく、選んではいられない。
とりあえず、そこでいい!
勢いで、カナダでの仕事先は決まった。
わたしは、ちゃっかり!な裏切り者となった。
だって、その仕事先は同業種。
退職して、きっと数日後には
カナダへ渡る事も
ちゃっかり、早々に転職する事も知られる。
9年9か月働いた、会社での最後の日。
1998年の仕事納めの日。
重い心を抱えながら
たった一人残っていた、同期の女子が
「私、一人になっちゃったよ…」と言って、泣きそうな顔をした。
苦笑いのわたし。
「ごめんね、行くね」 そう、心の中で呟いていた…
何の未練も感傷もなく
わたしは会社を後にした。
手には、所属部署で仕方なく用意したであろう退職の花束。
寿でもない、アラサーのわたしは
師走の有楽町線の車内で、見るともなく中吊り広告を見ていた…
Globe - Departure (1996)
入社から数年、ポンコツOLだった私が
なんとなく、バリバリ・キャリアウーマン風味…
なんちゃって感満載な、風味なんです!笑
そんな感じになれたのも、この会社に入社し
いろいろな出会いがあったからこそ。
後になれば、良い会社だった!
しかし、その会社は私が退職して3年後
経営不振から会社更生法適用申請、上場廃止となった~続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/