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Cafetalk Tutor's Column

Yukiko.T 講師のコラム

「ん」の真実

2022年8月1日

日本語ネイティブが韓国語を習得するにあたって、苦労するものの一つがパッチムの発音です。日本語の発音でパッチムに近いものといえば「ん」と「っ」ぐらいしかないのですから、当然といえば当然ですね。中でも、ㄴ[n]/ㅁ[m]/ㅇ[ng]という鼻音パッチムの聞き取りと発音に悩まされる方が多いはずです。これにはやはり、母国語が大きく影響しているのです。
 実は、日本語ネイティブは無意識の内に「ん」の発音を数種類使い分けているのです。何を隠そう、私自身も韓国語を学び始めてから初めてその事実に気付いたのですが……。それではここで、韓国語の発音の視点から日本語の「ん」の発音を分類してみましょう。

❶タ・ダ・ナ・ラ行の前の「ん」→ㄴ[n]
❷パ・バ・マ行の前の「ん」→ㅁ[m]
❸カ・ガ行の前の「ん」→ㅇ[ng]

例えば、「パンに」の時はㄴ[n]、「パンも」の時はㅁ[m]、「パンが」の時はㅇ[ng]という具合に、同じ「ん」でも前後の音の組み合わせによって発音しやすいように勝手に口の形が変わっているということです。……と、ここまで説明を聞いても「えっ、そうかな?」と半信半疑になってしまう程、極々自然に発音し分けているのです。
 もうおわかりになりましたか?この「ん」の真実が、鼻音パッチム問題の原因なのです。3種類の鼻音パッチムの音が日本語ネイティブにとっては同じ「ん」の範疇に入っているため、境界線が曖昧で聞き取りの障害になります。また、韓国語を話す時に上記の❶❷❸のような音の組み合わせが成立した場合、日本語ネイティブは日本語の「ん」の方式で自動的に口の形が変化してしまう傾向にあります。したがって、本人は正しく発音しているつもりでも、実際には韓国語のスペル通りに正確に鼻音パッチムの発音ができていないことが多いのです。この癖を矯正するのはなかなか至難の業ですが、発音する際に口の形が正しく保たれているか意識してみることが大切ではないかと思います。

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