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Cafetalk Tutor's Column

Rubrica di Teiko

『赤毛のアン』

Weekly Topic: A book you never get tired of reading

Apr 21, 2022 | 5 Commento

こんにちは、Teikoです☆

しとしと雨が降り、薔薇の芽が伸びて、正岡子規の有名な句のように春らしい日々が過ぎていきます。

さて、ひさしぶりのコラム、今週のテーマは、

「何度読み返しても飽きない本」

私がはじめて自分で本屋さんで買った本は、L. M. モンゴメリーの『赤毛のアン(ANNE OF GREENGABLES)』でした。


この講談社から出ている『赤毛のアン』シリーズは全10巻で、
もっとも有名なアンの少女期を描いた第1巻から、アンの大学進学、就職、結婚を経て5人のこどもたちを育て、そしてそのこどもたちが成長し、末娘が婚約するまでがモンゴモリーの変わらないユーモアセンスにあふれた筆致で描かれています。

この10巻のうち、第9巻と10巻は、アンの暮らしたアボンリーでのできごとなどを集めた小品集になっていて、アンはあまり登場しません。

小学生の頃は、第1巻ばかり面白くて読んでいました。

大学時代は、ときどき『アンの愛情(ANNE OF THE ISLAND)』を読みました。

30歳を過ぎてからは、若い頃あまり読まなかった最終巻の小品も面白く読むようになりました。

人生のそのときどきで、手に取る巻は違って、読む度に新しい発見と深い共感、感動があります。

最近は、『アンの娘リラ(RILLA OF INGLESIDE)』を読み返しています。

アンの末娘がもう15歳になり、年長の男の子たちは出征しています。
この巻には、第1次世界大戦が描かれているのです。

戦場は描かれません。
けれど、戦争がちいさな町の家々にもたらす悲しみ、嘆き、寂しさ、心細さ、平時と異なる日常の様子が丁寧に描かれています。

出征したリラの一番上の兄ジェムを待ち続ける犬のマンデー

詩を愛した二番目の兄、戦死したウォルターからの手紙

そして、出征したケネスとリラの恋

私が10歳の頃からずっといつもそばにあって、そして、今、こうして手に取ると、この本は、前にも増して重く、大切で、慈しまないではいられません。

モンゴメリーは政治を描くときも、戦争を描くときも、様々な、ふつうの人びと、生活の中の何気ないひとこまを通して語っています。

けれど、それはとてもたしかな、とてもとてもたしかな、平和と思いやりへの賛歌なのです。

コロナ禍が押し寄せても、ひどい戦争が現実に起きても、
わたしにできることはほんとうに少なくて、涙を流すしかないこともあります。

けれど、穏やかに、冷静さを保つこと、常識をもって行動すること、周りの人を傷つけないようにすること、そして、祈ることはできます。

リラの祈り、アンの祈り、そしてモンゴメリーの祈りに重ねて、私も、心から世界の平和を祈っています。


出典:講談社赤毛のアンシリーズ〈全十巻〉
ルーシー=モード=モンゴメリー作 村岡花子訳 
装本・口絵・さし絵 鈴木義治

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