いつもの生活に世界のスパイスを。

Cafetalk Tutor's Column

Toria 講師のコラム

転がるオンナ~後編【TORIAのおひとりさまシリーズ②】

2022年2月16日

転がるオンナ~前編を読む

救急の診察室に入ると、そこにはベッドが並び、簡単にカーテンで仕切られていた。
部屋の一番奥で車いすが止まり、病院スタッフがポツリ

「しばらく横になりお待ちください」と言うと、足早に去っていった。

私は、付き添ってくれた友人と一緒に“そこ”に取り残された。 

さっきまで七転八倒の痛みで転がりまわり、半狂乱になっていたのが嘘のように
わたしは落ち着いていた。
腹部の痛みは変わらない。
・・・が、もうすぐ診てもらえると思うと、すこし楽になったのだ。

付き添いの友人は病院事情に詳しく
「大丈夫だから。もうちょっとよ」と言い、横でウトウトし始めた。

しかし…待てども暮らせど誰もやって来ない。

ようやく、中年の女性がカーテンを開けて入ってくると
わたしは、おぼつかぬ喋りで今の自分の状態を言おうとしていた。
だが、その女性は血圧と体温を測って去っていった。

そこから、2時間経ち、3時間経ち・・・
やっと、若い男性医師がわたしの横に来たのは4時間後だった。

脈を診たり、わたしの目玉が飛び出さんばかりな勢いで、目を無理やり開け覗き込む。
そうして、ようやく口を開いた。
「いつくらいから、どこが痛いんですか?」

わたしは、これまでの状況を説明する。
この時ばかりは、何故か流暢に英語が口から出た。
そして、最後にわたしは聞いた。

「ドクター、わたしの状態はシリアスなんでしょうか? わたし、死ぬんでしょうか?」 

医師はぶっきらぼうに
「死にませんよ。そんな、簡単に死にませんから。
それにたぶん、シリアスじゃないですから」

それでも、わたしは信じられず

このままわたしは、ここで死んでいくのかもしれない。
あぁ…お母さん、ごめんなさい。
こんな異国でひとり死ぬ娘を許してください。
 

そんな事を、ツラツラと思っていた。

それから、レントゲンを撮り
また暫く横になっていると、クスクスと笑いながら医師がやって来た。

なんて、こったい! なんで、笑っていやがる。
死にそうなわたしは、胸の内で毒づいた。
 

Toriaさん大丈夫です。2ミリです! 2ミリの石です」

わたしを苦しめていたのは、2ミリばかりの腎臓結石だった。

それを知った瞬間
口から出た言葉は、「はぁ~!?↑」.....( ꒪⌓꒪)

良かったとか、ホっ!としたではなく、そんな2ミリの代物に
死にそうな思いをし、這いつくばり、叫び倒し、死まで覚悟した自分を思い出し
愕然とした。

痛み止めと消炎剤を処方され、石はちっとも出てこないものの、わたしは病院から帰された。
その後、石と対面するまで約半日の時間が掛かった。 

しかし、その後も
Toriaは、この「転がる石」に苦しめられ
滑稽なドラマを展開するのであった…いつかに、つづく。


Edwin「ALIVE」(2006)

カナダに来てからというもの
Toria
は腎臓結石を何度も再発。
何度、経験してもアレは痛いです(‘’)

TORIA (o ̄∇ ̄)/

お気軽にご質問ください!