古典芸能の世界で育った私は、わびさびのきいた、しんみりとした、静寂に包まれた、清潔さと神聖さが内在する「冬」…。と言いたいところですが。なんと言っても「私は夏好きです。」童心に帰って言わせていただきます。
アイスはうまい。ジュースはうまい。ビールはうまい。果物はジューシー。衣服も身軽で、洗濯物が少ない。旅行に行くにもカバンが軽い。日が長くていっぱい遊べる。毎日プールで泳げる。草花も、虫も鳥も、あらゆる生き物が人生を謳歌している。
うだるような暑さがあっても、一度、あるがままの自分をそれにあずけてしまえば、自然と一体となれる。汗だくの仕事でさえ、どうにでもなる…。
私にとっては、あの生命がこときれそうな、痛い冬は、ガラス越しの暖房が効いた部屋からで十分です。
ただ「そんな夏を実現させてくれるのは、いつも凍てつく寒い冬に耐えて頑張っていた地面の下の生命」だと、自分に言い聞かせることでバランスを取ることにします。