昨日、何年振りかで、マドリード近郊外にあるパルド宮殿を訪れた。
少し前にカフェトークレッスンの村、町めぐりで生徒さんを案内したので、また行きたくなったのだ。
たまたま水曜日で、それも午後から友達と行ったので、入場料はただ。ウイークデイということで、人もほとんどおらず、ゆっくり見ることができた。
パルド宮殿は、スペインに数ある宮殿のなかでも、ちょっとほかの宮殿とはちがっている。それは、そこがスペイン独裁政権時代のフランコ将軍の住居ともなっていたからだ。
でも私にとって、この宮殿の魅力は他の宮殿とは違い、各部屋の壁に一面タピストリーがあること。それも城や、大聖堂などにある古い時代の、ギリシャ神話や歴史を題材としたものではなく、18世紀以降の風俗画が下絵のタピストリーであること。つまり、18世紀の人々の様子がわかる楽しくて、明るいタピストリーだということなのだ。いかにも宮殿の装飾ではあるが、その芸術性は高い。
スペインを訪れて、プラド美術館に行った人は、かの有名なゴヤの絵をみたことだろう。
そのゴヤは宮廷画家となる前はタピストリーの下絵画家をしていた。だからプラド美術館ではゴヤのカートン画として別の階にまとめて飾られている。
そんな絵を見ながら、「この絵がタピストリーになったらどんな感じなんだろう。」と思っていたら、そのタピストリーがこの宮殿で見られるというのを知った。だから見に行った。その時は本当にびっくりした。
ゴヤのカートン画は、ただの下絵などではないすばらしい絵画、つまりタッチも細かく動きまででているので、それを織物にするのに、とても苦労した。という話を聞いていたのだ。
だからタピストリー、織物があれほど素晴らしく絵画を表現できると思いもしなかった。
昨日、久しぶりに見に行って、しげしげとタピストリーを見ていると、一緒に行った、この宮殿を初めて訪問する友達は絵画だと思ったようで、「絵がたくさんかかっているね。」といった。
これは、織物、タピストリーだというと、やはりびっくりしていた。
ただ、写真にあげた典型的なゴヤの絵のタピストリーはなくて別のタピストリーが飾られていて、いろいろなタピストリーがあるんだな?と思ったけど、また行って、次回はゴヤの下絵のタピストリーがみたいな。
と感じ、素晴らしい作品は何回見てもいいな。と思った。