頭がキレる人を学年委員長や生徒会長にしてはいけない。
これが僕の学年の結論だった。
努力家のイシザキは生徒会副会長になり、
学年トップの才女オトキタさんが生徒会長に選ばれた。
僕は学年やクラスで好き放題していたが、
中学校全体を動かすことはできなかった。規模が違った。
悪友のサトシに頼まれて彼の推薦人になったが、
彼を生徒会に送り込むことはできなかった。
なぜなら僕が後ろ盾だと、
「全部ケイスケの思い通りになる」という懸念があったからだ。
さすがにそれは避けたかったらしい。
結果はイシザキの圧勝だった。
サトシが負けたのは人選ミスだ。仕方がない。
もっと有能な駒を選べば、少しは面白い結果になったかもしれないが、
僕はその結果を悔しいとは思わなかった。
中学校では生徒会長が偉いに決まっている。
しかしクラスでは僕が頂点だった。
僕が仕組んだ席替えで、合唱コンクールの曲も勝手に決めた。
責任は後期の委員長に押し付けた。
誰かが負け役を担うべきだろう?
僕が支配する王国とはこういうものだ。
僕の玉座は教室の最後尾にあった。
それは愚民たちを見下ろし、全体を支配するのに格好の場所だった。
すべての席は僕が決めたのだから、
この玉座がどれほど重要な意味を持つか、誰もが理解していたはずだ。
僕は優越感に浸りながら原稿用紙を年間30枚以上書かされていた。
それだけやっているのだから文句を言われる筋合いはない。
そもそも僕が嫌なら引きずり降ろして自分で立候補すればいい。
だが、そんな度胸がある人間はいなかった。
いや、いても僕に勝てなかっただろう。
とはいえ、独裁政治には反発もつきものだった。
アンチャンやショウゴ、オックンたち親しい友人もいたが、僕を嫌う人間もいた。
特に女子グループの中心、イズミヤマには目をつけられていた。
直接衝突することはなかったが、お互い陰で牽制し合っていた。
そんなイズミヤマに僕は罰を与えた。
教壇の真正面、特等席に座らせてやったのだ。僕に反抗した罪は重い。
案の定、彼女は文句を言いにきたが、座席表を変えるつもりなど初めからなかった。
仕方なくドスドスと重い足音を立てながら特等席に戻る彼女の後ろ姿を見て、
僕は満足げに微笑んだ。
誰がどう言おうと、ここが僕の王国だ。
愚民たちは僕に逆らうことはできなかった。
本当にお疲れさまである。