僕は今でもハシモト先生が大嫌いだ。
生徒によって態度を変えるからだ。
基本的に女子に優しく男子に厳しかった。
努力家のオオイシさんを褒めて、
真面目なキムラさんを評価し、
タカハシさんには無理やり利き手矯正を行っていた。
まさしく昭和の年寄り先生という感じだった。
僕は努力しないからハシモト先生から雑に扱われた。
他にも、ショウゴやイシザキまでも犠牲になっていた。
努力家のイシザキが被害者になったのは可哀想だった。
クラスの座席はハシモト先生がしていた。
僕の両隣はサッカー部のバカ二人。
そして、同じグループにも成績不振者ばかり。
「何でいつも僕の隣はこのメンバーなんですか」
と僕が不満をいうと、ハシモト先生は、
「ケイスケは頭が良いんだから教えてあげなさい」
と言った。
学年トップの成績だから僕より賢い人はいないが、
せめてもう少し頭の回転が早い人を隣にほしかった。
私は成績上位者なのに、
サッカー部のバカ二人と一緒にまとめられて
『三バカ』と呼ばれた。
修学旅行の班分けもハシモト先生が勝手にやった。
僕は三バカと不良たちと一緒にされた。
泣いたし抗議したが、どうしても変えてくれなかった。
三バカの仲間が慰めてくれたからよかったものの、
修学旅行に行くのを辞めたいと思ったほどだ。
クラスメイトの殆どがハシモト先生を嫌っていたと思う。
ハシモト先生は呑気に、
「いつかハシモト先生が担任で良かったと思う日が来る」
と言っていた。
中学校の真夏の部活のとき突然三バカの一人が、
「ハシモト先生が担任で良かった」
と言い出したので、
僕は暑さで頭がイカれてしまったのかと心配した。
僕はそう思わない。
あんな大人にはなりたくない。
あんな先生にはなりたくない。
その見本がまさにハシモト先生だった。